LATIN EXPRESSION in THIS SITE ⇒Wikipedia 普通「ラテン語」と言えば前1世紀から数世紀の間、というから凡そユーリウス=カエサルと それに続く帝政ローマの時代に使われた所謂「古典ラテン語」を指す。 「古典ラテン語」で実際に使われる文字は A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V X Y Z ローマでは小文字はまだなかった。もし当サイトでそれを使っていたら、その語は中世語か もしくは何らかの学名である(外では普通に小文字を使って構わない)。後の時代になると 初学者のためにローマでは明記されなかった長母音を示すため、文字の上に横棒を付す ようになった。そこで A ̄ I ̄ U ̄ E ̄ O ̄ Y ̄ のような記号を当サイトでも使うことにする。 以上が本サイトでのラテン語表記規則の全てであるが、一般のために一応読み方を解説 しておく。発音は所謂「ローマ字読み」で構わないが、注意を要するもののみ記す。 I =【イ】 or 「ヤ行の子音」(母音間では概ね「ィヤ行」になる) J=「ヤ行/ィヤ行の子音」を表すため後から作られた。 V=【ウ】 or 「ワ行の子音」 U =【ウ】音を表すため後から作られた。 Y =「唇の丸いイ」 【ュ】っぽく聞こえる C=【 k 】音だが、元々は【 g 】音を示していた。 これに伴い、「K」はあまり使われなくなった。 そして欠落した【 g 】のために「G」が作られた。 ただし人名等では依然「C」=【 g 】も併用された。 QU=「唇音化した k 」、クゥア行の子音 (「Q」字の唯一の用法) GU=「唇音化した g 」、グゥア行の子音 SU=「唇音化した s 」、スゥア行の子音 X=【 ks 】 Z=【 dz 】=「ヅァ行」 BS=【ps】 BT=【pt】 RH=希の「Ρ‘」 など専ら外来語用、「気息を伴う r 」、実質「ラ行」 CH=希の「Χ」 など専ら外来語用、「クフのような k 」、実質「カ行」 PH=希の「Φ」 など専ら外来語用、「プフのような p 」、実質「パ行」 TH=希の「Θ」 など専ら外来語用、「トゥフのような t 」、実質「タ行」 R=「舌が激しく震えるルラ行」 ラテン語の二重母音は次のものしかない。 ae au ei eu oe ui 従ってギリシャ神話の【アイネイアース】をローマ人は【アエネアス】などと呼ぶのである。 また、ギリシャの【ペガソス】をローマ人が【ペガスス】と呼ぶのはラテン語の文法に「-os」語尾 が存在しないからだが、実は古い時代(古ラテン語)にあった「-os」語尾は全て「-us」語尾に 変化してしまったのである。この点に留意しておけば、ギリシャ神名等が現れた時に、それが 本来のギリシャ名なのかローマ人による借用語なのかを判断するのに役立つだろう。(ただし 古代希語に「-us」語尾は存在しないが、ラテン語には存在しない「-u ̄s」・「-eus」語尾など が有ることには注意すべきである) 古典ラテン語とより古い時代を区別する現象としては他に「ロータシズム」というのがあって、 古典期の始めには母音間の「s」の殆どが「r」に変化したが、これによって例えば、ローマの 暁の女神「AURO ̄RA」は希女神「エーオース」や印女神「ウシャス」と同起源とみなされ、 印欧祖語の時代にまで起源を求めることができるようになる。(しかし綴りはあくまで発音通り に記されるので読む分には特に気に病む必要は無い) 例え会話では「俗ラテン語」の方が多く使われようとも、そこからフランス語やスペイン語などの ロマンス諸語が発展しようとも、古典ラテン語は文書語としては中世ヨーロッパにおける共通語 であり続けた。もっとも「DIE ̄S I ̄RAE(ディエース・イーラエ)」を乱暴に【ディエス・イレー】など と読むようなこともしていたのだが(中世ラテン語)。 付録 発音の例 「IU(P)PITER/JU(P)PITER」→「I /J」=「ヤ行」に注意→(補助記号) →「IU ̄(P)PITER/JU ̄(P)PITER」→【ユー(ッ)ピテル】主神(英語読み【ジュピター】) 「MAIOR/MAJOR」→母音間の「I /J 」=「ィヤ行」に注意→(補助記号) →「MA ̄IOR/MA ̄JOR」→【マーィヨル】=大きな 「AVE MARIA」→「V」=「ワ行」に注意→(補助記号) →「AVE ̄ MARIA」=【アウェー マリア】=おめでとう、マリア (なお、「AVE ̄」は「AVEO ̄ [切望する、歓迎する、挨拶する、健やかである] 」の 命令法能動相現在形二人称単数であるが、出会い・別れの挨拶や祝福の言葉と しても使われた) 「CAESAR」→「C」=【k】に注意→【カエサル】(人名)(英語読み【シーザー】) (割とどうでもいいことだが、「V sV ' r」の形ではロータシズムは生じない) 「C.」=人名「GA ̄IUS(ガーイウス)」の略号(古い「C」=【g】の名残) (-「i 」+「us」語尾は【ィユス】と読まぬことが多いらしい) 「QUATTUOR」→「QU」=「クゥア行」に注意→【クゥアットゥオル】=4 「ABSENS」→「BS」=【ps】に注意→【アプセンス】=不在の 「CHRISTUS」→「CH」=【気息を伴う k 】だが、便宜上「カ行」でOK →【クリストゥス】=キリスト (これは希語「ΧΡΙΣΤΟΣ」=「油が塗られた」からの借用語である) 「TELLUS」→子音字のくり返し「LL」は促音で読む→(補助記号) →「TELLU ̄S」→【テッルース/テルルース】地母神 (男性名詞語尾「-us」でないことに注意、語末が「u ̄s」だがこんな希神名は無い) 付録 お役立ちサイト Charlton T.Lewis & Charles Short 羅辞書(Perseus Project)(英) − 長音記号付き 山下太郎のラテン語入門 − ラテン語wiki に文法入門あり lingua Latina − 入門文法 LEXILOGOS::Latin keyboard Online − 羅語のアルファベット(母音だけw)をブラウザ上で入力 Latin character picker − ブラウザ上でラテン・アルファベット全般を一度に入力できる |