ARABIC TRANSCRIPTION in THIS SITE
                                              ⇒Wikipedia

当サイトではアラビア文字の各々に次のように記号を対応させて表記する。
  'alif =「┃」   y= 「y」   w=「w」
  ’ =「 ’」  h =「h」   h.=「h‘ 」   ‘=「‘」
 k=「k」   q =「k‘ 」  kh=「kh 」  gh= 「gh 」  j =「g#
 t=「t」   t. =「t‘ 」  th=「th 」                   n=「n」
  d =「d」  d.=「d‘ 」  dh =「dh 」                    l =「l 」
 b=「b」           p-= 「f 」                    m = 「m」
 s=「s」  s.=「s‘ 」                    sh=「s#
 z= 「z」   z. =「z‘ 」                            r =「r」

 ・「’」=声門破裂音(ハムザ)  「‘」=有声咽頭摩擦音(アイン)
   (両者とも日本では便宜上、単なる音の区切りとして扱ってよい)
 ・「 」=咽頭化による強勢音
  「h‘ 」=「強勢のハ行、澄んだ ‘ 」     「k‘ 」=「強勢のカ行、喉彦のカ行
  (その他、日本では便宜上「t‘d‘s‘z‘ 」〜「タ、ダ、ス、ザ行」などで記される)
 ・「 h 」=摩擦音
  「th 」=【英の澄んだ th 】          「dh 」=【英の濁った th
  「kh 」=「独の強いハ行、摩擦のカ行 」  「gh 」=「濁った kh によるガ行
 ・「s# 」=「シャ行」   「g# 」=「ギャ行」だったが、早い時代に「ヂャ行」となった

これらは「独立形」であり、実際は語中の位置によって形が少なからず変化する。そしてこれら
子音字の周囲に補助記号(シャクル)を振って母音等を明記することもできるが、それは後で述べる。

「┃」(アリフ)には特別な説明が必要であるが、これは何の音も持たない形式的な文字である。
といっても元からそうだったわけではなく、音の機能は「 ’」に移ってしまったのである。従って
「┃」の機能の一つは「 ’」の「置き台」であって、これを当サイトでは次のように書く。
 ’ above 'alif → 「┃’」と記す

ところである種の単語は、文章中においては直前の語との兼ね合いで語頭の「┃’」+「母音」は
省いて読まれるが、これは特別の記号で記される。そこで本サイトでも特に次のように記す。
 ’+V vanished → 「┃[母音]。 」と記す  (ハムザトゥル・ワスル、アリフ・ワスラ)

しかしこれが生じる可能性のある語では、元から「’」を抜いて「┃」に直接母音記号を付けて書いて
しまうのが普通なので(実は上の記法でもこれを考慮してある)、どうしても使わねばならぬものでも
なく、アラビア語キーボードにも使われていない。ハムザトゥル・ワスルにはいろいろと面倒な規則も
あるので、当サイトでは特に必要でない限りはなるべく使わない。

なお、「l 」と「┃」が隣り合うと、これらは結合して特別な形になる。
 laa miym 〜「l┃」に等価  (ラーム・アリフ)

しかし本サイトでは単に「l┃」と書くだけである。

セム・ハム語系によくあることだが、アラビア文字も右から左へ筆記し、元々子音字しか持たな
かった。読み手は文脈から間に存在するであろう母音を判断する。母音記号などの補助記号の
類は子音字の周りの小さな記号で記されるが、日常生活ではめったに使われない。注意して
おきたいのは「 ’」も補助記号として扱われることがある、つまり通常は明記されないことがある、
ということである。従って「 ’」をアルファベットに含めるべきではない、という意見もある。

促音、つまり「子音字の繰り返し」も通常は記されない補助記号である(シャッダ)。
 C x2=(重子音記号、長子音記号、シャッダ)

しかし当サイトでは単に対応字を2回繰り返して書くだけである。一方、子音が連続するだけで
あることを示したくば、補助的に子音に小さい丸を付ける(スクーン)が、本サイトでは誤解を生み
そうな時にしか明示しない。
 no V → 無表記 または 「・」  (無母音記号、スクーン)


次に母音記号を述べる。当サイトでは短母音記号を次のように表す。
 a=「 a 」(ファトゥハ)   i= 「 i 」(カスラ)   u=「 u 」(ダムマ)

 (ただし、重子音「シャッダ」との組み合わせでは「i 」は子音字の下でなく「シャッダ」のすぐ下に
  置かれ、「┃’」と「i 」の組み合わせでは「’」は「┃」の下に置かれ「i 」はそのさらに下に位する)

すると、これらと子音字を組み合わせて長母音や二重母音が作られる。

 「 a┃」=【アー】  「 iy(・)」=【イー】  「 uw(・)」=【ウー】

             「 ay(・)」=【アィ】   「 aw(・)」=【アゥ】

ここで「(・)」は直後に母音が無い、つまり語末もしくは無母音記号「スクーン」になることを示している。
「a┃」についても、「┃」に「’」が付されておらず、従って直後に母音が続かない場合を想定している。
つまりこの場合の「┃」は「単なる長音化の記号」であり、これが「┃」の第2の機能ということになる。

しかし子音に付いていない単独の【アー】音を書こうとすれば「┃」を2回書くことになるが、これを避ける
ために次のような記法がある。
 initial ’ + long a〜「┃’a┃」に等価 → 「 ┃’a ̄ 」で記す  (アリフ・マッダ)

そして語末では同様の理由で「a┃」直後の「┃’」は「┃」の上に載せずに「’」単独で書かれるが、
「a┃’」のように転写すると、上で長音化の「┃」には「’」が付かないと言ったのに反するような見かけが
生じることになるので、本サイトでは次のようにしてこれを回避する。
 long a + ’ → 「 a┃┃’ 」と記す  (アリフ・マムドゥーダ)

紛らわしいことに「┃」が無いのにも関わらず【アー】音を読ませたいがために、語中に補助記号としての
「アリフ」を無理矢理挿入することもできる。
 'alif mark〜「┃」用途 → 「 † 」と記す  (短剣アリフ、添字アリフ、ミニチュア・アリフ)

実は【アー】用途だけでなく完全な「┃」の代替として「y」字や「w」字が使われることもしばしばあり、
当然「’」を上に乗せることもできる。この場合の「y」字は点が消えるので注意を要する。
 'alif like y〜「┃」用途 → 「y† 」と記す  (アリフ・マクスーラ)

これは「y」字と間違えやすいので、「†」を明示的に付加したものも使われる。
 dagger 'alif like y〜「┃」用途 → 「y。†」と記す(「y。 」は無音とする)

一方「w」はそのままで「┃」の代替になり得るが、「†」付きとしても用いられる。
 w〜「┃」用途 → 「w† 」と記す
 'alif like w〜「┃用途」 → 「w。†」と記す(「w。 」は無音とする)

しかし現在では長音化用途での「w† 」「w。†」はあまり使われない。

「┃」の記法は非常に紛らわしいものだが、それはイスラーム以前の外来語の綴り名残であるとか、
古典アラビア文法の準拠する東方方言とムハンマドのクライシュ方言との辻褄合わせが原因らしい。

アラビア語の母音は数が少ないように思えるが、口語や方言では【エ】や【オ】も存在する。ただ表記
する時は(母音記号を書くこと自体稀だが)【アイウ】に当てはめて書くのである。


次に文法的な事柄に付随した発音・表記の問題について述べる。


アラビア文字は「太陽文字(「b」「t」「d」「dh 」「r」「z」「s」「s# 」「s‘ 」「d‘ 」「t‘ 」「z‘ 」「l 」「n」)」と
「月文字」とに分類されるが、それは前者が定冠詞「┃al・」(「┃」に直接「a」が付いているので、
これはワスラを生じ得る)の後ろにある時に、【 l 】音と同化して二重になる(つまり促音になる)と
いう性質による。本サイトではこれを

 ┃al・ + s#ams(太陽) → ┃al。 s#-s# ams  s#の繰り返しは当然シャッダ)

のように書くことにする。ここで「l。 」は表記はされるが読まない「 l 」字である。

定冠詞が付く時、名詞は文中の役割「主格」/「目的格」/「所有格」に従って、「┃al・+語根+u/a/i 」
と活用するが、定冠詞のつかない時は「語根+un/an/in」と活用する。(二段変化なる活用をする
単語もあるが、詳細は省く)この活用語尾には特別の補助記号(タンウィーン)が割り振られている。
 un→ 「 un 」と記す   an→ 「 an 」と記す   in→「 in 」 と記す

名詞が活用する時、それを修飾する形容詞も同様に活用し、定冠詞も形容詞へ別個に付される。
口語的にはこの種の活用語尾は次第に消失する傾向にあるらしい。

ところで、全ての名詞は男女2性のどちらかを持つが、しばしば【 at 】音を男性名詞語根に加えることに
より、対応する女性名詞語根が作られる。ここで「t」字には特別な文字(ター・マルブータ)が割り振られ
ており「h」字に似ているが、実は口語でも【 h 】と読むことが多い(読まぬこともある)ので、
 t female→ 「 」 or 「 」  (ター・マルブータ)

と臨機応変に書き分けることにする。当然全ての女性名詞が上のようにして作られているわけでは
ないが、それを修飾する形容詞も「 a 」が付される事によって名詞と性を合わせているのである。



付録 転写と発音の例

 ’adhaan=「┃’adha┃n」=【アザーン】(礼拝への呼びかけ)
 「┃」の用法2種。「┃’」は母音を力んで発する時に生じる子音だが、カタカナ表記ではさほど
 気にしなくともよい。「a┃」は直後が子音なので長音【アー】。
 ’ibliys=「┃’ibliys」=【イブリース】(悪魔の王)
 【イ】音があると「’」は「┃」の下に置かれる。「iy」は後ろに母音が無いので【イー】音。
 ‘aaliyah=「‘a┃liya 」=【アーリヤ(フ)】(「‘a┃liy(高い、高貴な)」の女性形)
 「‘」の発音は日本人には難しいので、便宜上「’」と同様に扱ってよい。語頭は「’(ハムザ)」
 っぽく見えるが「‘(アイン)」の方である(というよりハムザの方がアインに似せて作られた)。
 「┃」に「’」が付いてないので「a┃」=【アー】。「iy」の後ろに「a」があるので「iya」=【イヤ】
 だが、男性形「‘a┃liy」なら読みは【アーリー】となる。
 女性形を示す末尾の「(ター・マルブータ)」字は、ここでは口語っぽく「 」で転写したが、
 いずれにせよ、活用語尾(タンウィーン)が無い時は読まなくても良い。
 ra’s=「ra┃’s」=【ラ・ス】(頭)
 「┃」に「’」が乗っているので「a┃’」=「a」+「┃’」と解釈する。この場合の「┃’」は単なる音の
 区切りとして扱ってよいが立派な子音である。【ラァス】でもよいかも。
 jawzaa’=「g#awza┃┃’ 」=【ヂャウザー】(双子座)
 「アリフ・マムドゥーダ」語尾の例。語末の「’」では「┃」を復活させて転写したので、その前の
 「┃」と「’」が繋がらないことが明示されている。「aw」は後ろに母音が来ないので二重母音【アゥ】。
 「g# 」は「ヂャ行」と読んで構わない。
 qur’aan=「k‘ur┃’a ̄n」=【クル・アーン】(聖典コーラン)
 「アリフ・マッダ」の例。転写記号中で「’」を復活させ、「r」と【アー】が繋がらないことを明示してある。
 ‘alaa=「‘alay† 」=【アラー】(上に)
 長音化記号としての「アリフ・マクスーラ」の例。「y」字に似ているwので「y† 」と転写する。
 bi’r=「biy†’r」=【ビ・ル】(井戸)
 「’」の置き台としての「アリフ・マクスーラ」の例。「y† 」で転写するが無音。
 語中では判別しにくいので注意。
 suwk.=「suwk‘ 」=【スーク】(市場)
 「uw」は後ろに母音が無いので【ウー】で読む。
 jaru’a=「g#aruw†’a」=【ヂャル・ア】(敢えてする)
 「’」の置き台としての「w」字。「w† 」で転写するが無音。
 laakin=「la†kin」=【ラーキン】(しかし)
 長音化記号としての「短剣アリフ」の例。「a†」=【アー】。
 asshams=「┃al。s#-s#ams」=【アッシャムス】(定冠詞+「太陽」)
 定冠詞「┃al・」と太陽文字との結合の例。子音字の繰り返しが生じている。「l。 」は読まない。
 なお、「s#ams」の語はセム語派としてアッカド語の【シャマシュ】太陽神に通ずる。



付録 お役立ちサイト

 Isramic Network クルアーン全文検索(英) − 英語+アラビア語+母音記号
 Linca::アラビア語検索エンジン Alladin − アラビア⇔日本語辞書
 Onlineアラビア語辞書 − アラビア⇔日本語辞書
 アラビア語ちゃんねる − アラビア文字入力フォーム(コメントタグ無 / コメントタグ付)あり
 LEXILOGOS::Arabic Keyboard online(英) − ブラウザ上でアラビア文字が入力できる ↑はFx等で動かない
 東外大::アラビア語専攻 − 単語とか人名とか文法の細かい点とか
 アラブ イスラーム学院 − 単語色々
 科学史の散歩道 − 星の名前とか



注意:セム語学の通常の転写法では

 「h‘ 」→「h.」 / 「 h
 「k‘ 」→「k.」 / 「q 」
 「t‘ 」→「t.」
 「d‘ 」→「d.」
 「s‘ 」→「s.」
 「z‘ 」→「z.」
 「th 」→「t 」も使われる
 「dh 」→「d 」も使われる
 「kh 」→「h」 / 「h 」も使われる
 「gh 」→「g」 / 「γ」も使われる
 「g# 」→「j 」 / 「g
 「s# 」→「s」 / 「sh



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